クライジェファⓇについて/疾患説明(補体を標的にした治療の重要性編)
gMGに対する治療選択肢の一つである“補体”の重要性を説明いたします。
疾患説明(補体を標的にした治療の重要性編)
全身型重症筋無力症(gMG)のアンメットニーズと病態メカニズムにおける補体
MGの治療目標
重症筋無力症(MG)の治療は、EFTやFT、分子標的治療薬などの登場により進歩を遂げてきました。
これらの治療を適切に組み合わせながら、診療ガイドラインにおいて治療目標とされているMM-5mg/日の早期達成を目指すことが重要と考えられます。
EFT:早期速効性治療戦略、FT:非経口速効性治療、MM-5mg:経口プレドニゾロン5mg/日以下で軽微症状レベル
■MG診療ガイドライン:MG治療の目標
*推奨の強さを2段階(1:強く推奨する、2:弱く推奨する)、エビデンスの強さを4段階(A:強い、B:中等度、C:弱い、D:とても弱い)で示す
(利益相反: 本ガイドラインの編集委員及び研究協力者に、アレクシオンファーマより謝礼金(講演料)を受領している者が含まれる)
MG治療のアンメットニーズ:MM-5mg・寛解達成率
診療ガイドラインにおいて治療目標とされているMM-5mgに達する割合をみたところ、2021年の達成率は50%でした。また、寛解率(完全安定寛解及び薬理学的寛解の達成率)は11%でした。
■MM-5mg・寛解達成割合の推移
2021年のMM-5mgの達成率は50%でした。また、寛解率は11%でした。
対象:日本人の全身型及び眼筋型重症筋無力症(MG)患者[2021年調査(n=1710)、2015年調査(n=923)、2012年調査(n=640)]
方法:重症筋無力症レジストリ(JAMG‑R)を用い、2012年・2015年・2021年の3時点での調査データを収集・比較した。
本研究の限界:本研究は登録データに基づく観察研究であり、患者選択や臨床背景のばらつきなどによるバイアスの可能性があるほか、治療戦略の変化やCOVID-19流行期などの影響が完全には調整されていない。したがって、本結果は因果関係を示すものではなく、解釈には注意が必要である。
(利益相反: 本論文の著者に、Alexion, AstraZeneca Rare Diseaseのコンサルタント料を受領している者が含まれる。また、著者に、Alexion Pharmaceuticalsより謝礼金(講演料)を受領している者が含まれる。)
gMGの病態メカニズムと補体介在性の運動終板破壊
gMG患者の病態メカニズム(補体介在性の運動終板の破壊、AChRの崩壊促進、AChとAChRの結合阻害)の分布を調査したところ、補体介在性の運動終板の破壊が84.8%の患者で認められ、病態メカニズムに大きく関わっていることが示唆されました。
また、診療ガイドライン追補版においても、「全身型MGは自己抗体がAChR分子を標的とし、補体の活性化により神経筋伝達障害が生じ、筋力低下が全身に及ぶ自己免疫疾患である」と記載されています。
■MGの発症・進展に最も関与するのは、補体介在性のMAC形成によるNMJ膜破壊と考えられます
対象:AChR陽性全身型MG患者46例
方法:2年間にわたり、約6ヵ月ごとに血清サンプルを採取し、病態メカニズム(補体介在性の運動終板の破壊、AChRの崩壊促進、AChとAChRの結合阻害)の分布をcell-based assays法を用いて調査した。各メカニズムが認められた症例の割合を関連度と内訳(そのメカニズムが単独で、あるいは他のメカニズムと共存して認められたかで分類)を示した。
診療ガイドライン追補版では、『全身型MGは自己抗体がAChR分子を標的とし、補体の活性化により神経筋伝達障害が生じ、筋力低下が全身に及ぶ自己免疫疾患である』と記載されている。
日本神経学会「重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン」作成委員会編:「重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン2022追補版2025」 P.6
(利益相反: 本ガイドラインの編集委員及び研究協力者に、アレクシオンファーマより謝礼金(講演料)を受領している者が含まれる)
(https://www.neurology-jp.org/guidelinem/pdf/mg_lems2025.pdf;2026年6月3日アクセス)
MG患者における重症化によるAChR密度の減少
抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性MG患者では、MGFA分類にかかわらずAChRの密度が有意に減少しており、さらにMGFA分類に基づく重症度が高いほどAChRの密度が減少したことが示唆されました。
■MGの重症度が高いほどAChRの密度が減少したことが示唆されました(海外データ)
対象:抗MuSK抗体陽性MG患者8例、眼筋型MG患者20例、gMG患者37例、ランバート・イートン筋無力症候群患者5例、ボツリヌス症患者3例、筋萎縮性側索硬化症患者8例、健康対照8例
方法:上腕二頭筋を生検し、ペルオキシダーゼ標識α-ブンガロトキシン及びペルオキシダーゼ標識ウサギ抗ヒト補体成分3(C3)抗体を用いた免疫染色によりAChR部位と免疫複合体の沈着を光学顕微鏡で可視化した。
Shiraishi H, et al. Ann Neurol. 2005;57(2): 289-93.
MAC形成/補体活性化による神経筋接合部(NMJ)の膜破壊
MGでは、補体活性化に伴うMAC形成がNMJの構造破壊に関与していると考えられており、一度破壊されたNMJの障害は、少なくとも数年残存すると報告されています。
■MAC形成/補体活性化によるNMJの膜破壊(ラット)
抗AChR抗体陽性MGでは、抗AChR抗体により誘導される補体活性化に伴う膜侵襲複合体(MAC)の形成が、神経筋接合部(NMJ)の構造破壊に関与すると考えられている。
方法:抗C5抗体(エクリズマブ)投与及び未治療のEAMGラットにおいて、横隔膜神経筋接合部の構造を電子顕微鏡により解析した。
EAMG:実験的自己免疫性重症筋無力症
臨床的寛解後も神経筋伝達障害は残存し、その正常化には数年を要することがある1~2)。
● 症状の寛解した小児13例ではCMAP、単線維筋電図(SFEMG)が正常化したのは1例のみで、subclinicalな神経伝達障害が残存する1)
●1981-1982年に少なくとも数年間、完全な臨床的寛解をみとめた20例2)
➡19例に単線維筋電図(SFEMG)により神経筋伝達障
14年後、7例では電気生理検査が正常化1)
(海外データ)
1)Michalska T, et al. Neurol Neurochir Pol. 1998; 32(6): 1357-1367.
2)Emeryk B, et al. J Neurol. 1985; 231(6): 331-335.