ALアミロイドーシスの鑑別診断
全身性ALアミロイドーシスの診断では、まず本疾患を積極的に「疑う」ことが第一歩となります。
全身性ALアミロイドーシスの診断では、まず本疾患を積極的に「疑う」ことが第一歩となります。アミロイド線維の沈着は心臓・腎臓・神経・消化管・骨関節など多臓器に及び、特異的な所見が乏しい症例も少なくなく、診断が遅れる可能性があることに注意が必要です1)。
特に、複数の臓器にまたがる、説明困難な難治性病態を認める場合には、本疾患を念頭に置いて生検を含めた精査を行うことが早期診断と適切な治療介入につながります。
特に、複数の臓器にまたがる、説明困難な難治性病態を認める場合には、本疾患を念頭に置いて生検を含めた精査を行うことが早期診断と適切な治療介入につながります。
1) Damy T, et al. Amyloid. 2022;29(3):165-174.
1)アミロイドーシス病型の鑑別
全身性アミロイドーシスのうちALアミロイドーシスは早期の治療介入が重要なため、野生型ATTR(ATTRwt)アミロイドーシス、遺伝性ATTR(ATTRv)アミロイドーシス、AAアミロイドーシスなどの他病型と迅速な鑑別を行う必要があります(アミロイドーシスの症状、診断:「アミロイドーシス診断のためのフローチャート」4)を参照)。臨床症候の違いも、病型推定の重要な手がかりとなります(アミロイドーシスの症状、診断:「全身性アミロイドーシスの主な臨床症候」6)を参照)。
また、鑑別するポイントとして、以下のような点5)も挙げられます。
- ATTRwtアミロイドーシス:高齢者に多く、うっ血性心不全や不整脈などの心症状が認められる。手根管症候群の既往/先行例が多い。
- ATTRvアミロイドーシス:末梢神経障害・自律神経障害・心筋障害などが主な症状として認められる。
- AAアミロイドーシス:基礎疾患として関節リウマチなどの自己免疫疾患を有している場合が多い。
4) アミロイドーシス診療ガイドライン2025作成委員会(編). アミロイドーシス診療ガイドライン2025. 医歯薬出版; 2025, p.17-24.
6) アミロイドーシス診療ガイドライン2025作成委員会(編). アミロイドーシス診療ガイドライン2025. 医歯薬出版; 2025, p.17-24.
6) アミロイドーシス診療ガイドライン2025作成委員会(編). アミロイドーシス診療ガイドライン2025. 医歯薬出版; 2025, p.17-24.
2)ALアミロイドーシスと他疾患(多発性骨髄腫、MGUSなど)との鑑別
ALアミロイドーシスは形質細胞腫瘍性疾患であり、多発性骨髄腫や意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)との鑑別が臨床上の課題となることがあります。
ALアミロイドーシスは、骨髄中形質細胞比率<10%となることが少なくありませんが、≧10%となる例もあり、必ずしもMGUSの基準と合致するわけではありません。これに対して、MGUSは骨髄中形質細胞比率<10%に加えて、無症候でCRAB症状(高カルシウム血症、腎障害、貧血、骨病変)やアミロイドーシスを認めないことが鑑別に有用な所見となります2,7)。一方で多発性骨髄腫は、骨髄中形質細胞比率≧10%で、CRAB症状またはSLiM所見(形質細胞≧60%、FLC比≧100、MRI多発病変)のいずれかを満たします7)。
ALアミロイドーシスは、骨髄中形質細胞比率<10%となることが少なくありませんが、≧10%となる例もあり、必ずしもMGUSの基準と合致するわけではありません。これに対して、MGUSは骨髄中形質細胞比率<10%に加えて、無症候でCRAB症状(高カルシウム血症、腎障害、貧血、骨病変)やアミロイドーシスを認めないことが鑑別に有用な所見となります2,7)。一方で多発性骨髄腫は、骨髄中形質細胞比率≧10%で、CRAB症状またはSLiM所見(形質細胞≧60%、FLC比≧100、MRI多発病変)のいずれかを満たします7)。
2) アミロイドーシス診療ガイドライン2025作成委員会(編). アミロイドーシス診療ガイドライン2025. 医歯薬出版; 2025, p.109-126.
7) 日本血液学会(編). 造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年版). III 1 多発性骨髄腫. https://www.jshem.or.jp/gui-hemali/3_1_1.html(2026年4月参照)
7) 日本血液学会(編). 造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年版). III 1 多発性骨髄腫. https://www.jshem.or.jp/gui-hemali/3_1_1.html(2026年4月参照)
3)専門医への紹介
全身性ALアミロイドーシスは、全身倦怠感・体重減少・浮腫などの非特異的な症状が多く、日常診療で早期に疑うことが難しい疾患です。これらの所見に加え、経過中にうっ血性心不全、蛋白尿、吸収不良症候群、末梢神経障害、起立性低血圧、手根管症候群、肝腫大、巨舌、眼窩周囲の紫斑(アライグマの眼サイン)を認める場合2)には、本疾患が鑑別疾患の一つとなります。
ただし、ATTRアミロイドーシス、多発性骨髄腫、MGUSなどとの鑑別が困難なケースもあるため、判断に悩む場合には専門施設へ早期に紹介することも選択肢となります。
ただし、ATTRアミロイドーシス、多発性骨髄腫、MGUSなどとの鑑別が困難なケースもあるため、判断に悩む場合には専門施設へ早期に紹介することも選択肢となります。