全身性ALアミロイドーシスの治療方法

全身性ALアミロイドーシスに対しては、大きく分けて2つの治療方法が存在しています。

全身性ALアミロイドーシスに対しては、大きく分けて2つの治療方法が存在しています。
1つ目が、「異常形質細胞の活動を抑制する」治療。2つ目が、「アミロイド線維の前駆体と沈着したアミロイド線維を標的とする」治療です(図1)。
全身性ALアミロイドーシスの発症メカニズムと治療標的

1)異常形質細胞の活動を抑制する治療3,4)

1)-1. 化学療法

化学療法は、アミロイド線維の前駆体であるモノクローナルな遊離軽鎖(FLC)を過剰に産生する異常形質細胞の活動を抑制し、血中軽鎖濃度を低下させることを目的とした治療です。複数薬剤を併用したレジメンが用いられ、迅速かつ深い血液学的寛解を得ることで臓器障害の進行抑制や臓器機能の改善が期待できます。
近年はMD療法※1に加えて、抗体薬を含むD-BCD療法※2などの多剤併用療法が標準化し、患者の臓器障害の程度・全身状態・有害事象リスクに応じて適切な治療選択肢が選択されます。
※1 メルファランとデキサメタゾンを併用する化学療法
※2 ダラツムマブ、ボルテゾミブ、シクロホスファミド、デキサメタゾンを併用する多剤併用化学療法

1)-2. 自家造血幹細胞移植(ASCT)

ASCTは、高用量化学療法で異常形質細胞を抑制した後、採取・保存した自家造血幹細胞を患者に戻して骨髄機能を回復させる治療です。適切に患者選択を行うことで、長期的な病勢コントロールに寄与できる可能性がある治療選択肢と位置づけられています。
近年は初期治療としてD‑BCD療法が広く用いられるようになり、移植適応例ではD-BCD療法後にASCTを検討するアプローチが一般的となりつつあります。
3) 日本血液学会(編). 造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年版). III 2(2)ALアミロイドーシス. https://www.jshem.or.jp/gui-hemali/3_2_2.html(2026年3月参照)
4) アミロイドーシス診療ガイドライン2025作成委員会(編). アミロイドーシス診療ガイドライン2025. 医歯薬出版; 2025, p.118,138.

2)アミロイド線維の前駆体と沈着したアミロイド線維を標的とする治療(抗線維療法)5)

抗線維療法は、ミスフォールディングした軽鎖や臓器に沈着したアミロイド線維を標的とし、免疫機構による除去を促すことで、沈着物の減少と臓器機能の回復を目指す治療です。従来の治療が異常FLC産生を抑制して“新たなアミロイド線維の形成を防ぐ”ことを目的としていたのに対し、この治療は”アミロイド線維の形成および除去”に働く点が特徴です。
5) Ioannou A. Future Cardiol. 2025; 21(10): 815‑827.